盲ろう者とは

「目(視覚)と耳(聴覚)の両方に障害を併せ持つ人」のことをいいます。盲ろう者は日本全国に1万4,000人ほどと推計されています。盲ろう障害は、目と耳という人間の主要な2つの感覚機能に障害を併せ持つため、情報入手・コミュニケーション・移動など、さまざまな場面で困難が生じます。したがって、従来の「視覚障害」や「聴覚障害」といった単一障害に対する支援のみならず、「盲ろう」という障害の独自性に応じた支援が必要になります。

社会福祉法人全国盲ろう者協会「平成24年度盲ろう者に関する実態調査」
厚生労働省「平成28年生活のしづらさなどに関する調査」

目と耳の両方に障害のある
「盲ろう者」を知っていますか?

盲ろう者はどのような経緯で障害を負い、
どのようにコミュニケーションをとって生活を送っているのでしょうか?

もし、あなたがテレビを見ていて、いきなり画面が消えてしまい、スピーカーの音だけが聞こえる状態になったとします。これは、「盲」の人が経験している認識世界に似ています。

逆に、テレビの音が消えてしまい、画面だけが映っている状態になったとすると、それは「ろう」の人が置かれている状態だといえます。

では「盲ろう」とはどのような状態でしょうか。それは、今の例でいえば、テレビの画面を消して、同時にスピーカーの音も消してしまった状態、要するにテレビのスイッチを切ってしまった状態だといえます。盲ろう者の前方には、「永遠に続く静かな夜」が広がっているだけなのです。

このように、盲ろう者は、「光」と「音」が失われた状態で生活しているため、独力でコミュニケーションや情報入手、移動ができない、あるいは極めて困難な状態に置かれています。

つまりこれは、コミュニケーションできる相手が制限され、入手できる情報も制約され、そして、自由に移動することができない状態であり、まるで牢獄に閉じこめられているような生活です。目には見えない「透明な壁」に幽閉されている状態です。

多くの盲ろう者はこのような「牢獄」から抜け出し、社会の中で精一杯、力を発揮したいと望んでいます。学び、働き、交流し、皆とともに暮らすという、生きている実感のある人生を送りたいと願っています。